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講義:第五回目
今回より、具体的な中獣医学基礎理論に入っていきます。
1章 中獣医学の哲学基礎
 哲学とは、自然科学と社会科学の概括であり、各科学分野を発展の原動力とし、研究されていくものであると同時に、各科学分野の研究に影響を与え、進むべき道に導くものでもあります。「陰陽五行説」という古代から存在していた客観論と弁証法思想は中獣医学の樹立と発展に正しい宇宙観と方法論を提供してくれました。だからこそ中獣医学は当時、科学技術レベルが低く、実験手段が発達しておらず、動物体の物質実体に深い見解を得られないままの状況下においても、優れた思想理論と長期に渡る臨床実験を融合させ、動物生命科学分野に於いて、素晴らしい研究を成し遂げてきました。
 「陰陽五行説」の基本的観点は、自然界全ての物事の存在、運動と発展は陰陽対立統一の基本に基づいています。無限の宇宙は一つの物質で構成される統一整体です。この整体は無数の層に分けられていて、層ごとに木、火、土、金、水の五つの異なる元素で構成されています。各元素と元素の間が相互影響、相互成長、相互制約、相互変化することによって、全体のバランスが取られているのです。
 中獣医学は「陰陽五行説」に基づいて基礎理論と臨床研究が行われ、整体観念と弁証論治を特徴とする理論体系が形成されていきました。数千年にも渡る臨床実験を見事に成功に導いたことは、世界科学史上の奇跡ともいえるでしょう。しかし「陰陽五行説」は素朴な客観論と自発的弁証法思想であって、不完全または誤った論述、観点は数多く存在することでしょう。これらの問題点は、私たちが現代科学技術を用いて研究、総括、整理、更なる進歩を成し遂げていかなければならないのです。
1.陰陽学説
 「陰陽学説」は中国古代哲学の対立統一理論であり、自然科学及び社会科学を研究する素朴な客観主義と弁証法思想です。中獣医学は「陰陽説」に基いて、理論研究と臨床実践を成功に導いたのです。
(1)陰陽の基本概念
「陰陽」は、物事の内部或いは一つの物事と他の物事の間に対立と統一の両面性を持ち合せ、互いに対立・排除すると共に依存・統一することをいいます。一定の範囲内での消滅、成長、進歩、後退を繰り返し、一定の条件の下で変化を成し遂げ、宇宙万物間の存在、運動、発展の基本規則となるのです。
(1) 陰陽の対立統一の観点
太陽の光が当たるか当たらないかが、最初に陰陽を判断する基準となっていきました。つまり気候の寒暖のことです。長年の生活に於いて、古代の人々は空と大地を観察することによって、太陽、月、星の運転、季節寒暑の移り変わり、自然界の動物達の生息など全てが陰陽対立統一の法則に基づいていることを確信し、“陰陽”と言うのは宇宙万物の進化、変化の基本であることが悟られたのです。地震について伯陽父という先人がこう示しました。「陽実出られず、陰虚発散出来ず、地震有り」。要するに「“陰陽”は対立する力であって、大地に潜んでいる。この二つの力が調和して運行できない状態に陥ったら、地震が引き起こされる。」としています。もう一人の荀况はこう示しています。「陰陽変化、風雨順調、万物その調和を得て生き、養分を吸収し成長していく」。要するに「自然界の変化は主に陰陽の変化によって引き起こされるもの」と彼は認識していたのです。《黄帝内経》の中では、更に陰陽を万物変化の源泉と宇宙間の基本規律だと見なしていました。曰く「陰陽、天地の道筋、万物の基本、変化の元、生死の根本」。陰陽対立統一が世間万物に存在することが論じられています。










湿




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(2) 陰陽の運動と発展
世の中の全ては常に運動と発展の中に置かれ、陰陽対立統一両方から発せられた作用と反作用に左右されます。“陰陽の昇降は寒暑に反映し出される”(《素問・五運行大論》)。天気の変化がそうであるように、その他の物事もそうです。《内経》では、陰陽の相互作用は宇宙万物の運動と発展の根本原因だと考えられています。それは物質世界から物質世界を理解するのに大きな意味を持ちます。このような物に対する考え方を中獣医学に応用し、動物体を運動的、発展的な観点からみて、矛盾・運動をタイミング良く捉えれば、病に打ち勝つことができるでしょう。
(3) 陰陽のバランスの相対性
陰陽説では、物事の運動と発展の過程に於いて、バランスが取れている場合と取れていない場合があります。バランスが取れなければ、物事に一定の規則性がなく、正常に発展することは出来ません。逆にアンバランスがなければ、対立統一も破られず、本来の物が新しい物に脱皮することも不可能となります。動物体のバランスが取れていて健康な状態は“陽平陰秘”といわれ、バランスが崩れると病気にかかります。「陰陽のバランスが崩れると病気が引き起こされる。」(《素問・生気通天論》)。「陰陽のバランスを取りながら、調和していくことが望ましい。」(《素問・至真大論》)。これが病気を防ぐ基本となるのです。
 
―――――次回は、「陰陽の基本内容」について勉強します。
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