| 講義:第一回目 |
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| 中獣医学における漢方薬学とは、漢方薬の由来、採集、性質、効能、理化特性及び臨床応用などで動物を研究する学問です。漢方薬は中国の伝統的な薬物であり、植物(86%)、動物(13%)や鉱物(1%)の中から加工されたものです。その中で最も多いのは植物であることから、今までに記述された漢方薬の書籍では「本草」と呼ばれています。また、漢方薬の意味は幅広く、その中では薬草も当然含まれています。民間では薬草に対するたゆまない発見、研究及び広い範囲に応用し、効果のある薬草については続々と中獣医漢方薬学専門書、あるいは薬辞典のなかに記載されてきたので、近代文献中で薬草を新たに書き入れることは少なくなってきました。中獣医漢方薬学の研究範囲は非常に広範囲で、実際には漢方資源学、漢方分類学、漢方栽培(養殖)学、漢方鑑定学、漢方化学、漢方薬理学、漢方炮製学、漢方製剤学及び臨床漢方学などの多く専門学科の内容を含んでいます。 |
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| 中華人民共和国が誕生して以来、中国では中獣医漢方薬に対する研究がめざましく発展して来ました。全国に渡って漢方薬の使用経験、薬の発掘、整理など漢方薬の資源調査が行われ、これからの研究と開発の基礎を築きました。また、科学技術の進歩に伴い、漢方薬の科学成分及び薬性、毒性などの分析を広く行いました。漢方薬の基礎研究によって、動物の生殖機能や人類にもっと品質がいい肉、玉子、ミルクなどを提供するために、科学者たちは、効果的・経済的かつ安全・無毒な漢方飼料添加剤を研究開発したのです。中獣医臨床方面では、漢方薬の応用がいっそう活発になり、大変多くの重要な成果を得ることができました。政府では「獣薬規範」(二部)、「中華人民共和国獣薬典」(二部)を制定し、また、「獣医漢方学」、「民間獣医本草」及び「獣医漢方薬大全」など中獣医漢方学に関する専門書を出版しました。 |
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| 漢方薬による、動物疾病の予防と免疫力の強化には、いくつかの優越性が考えられます。先ず、漢方薬の配合過程に於いて、大多数の品種は臨床実験か、人体実験済みなので、効能や副作用の把握は比較的簡単にできます。中獣医学の基本論理に基づいて、処方すれば理想的な効果を収めることができるはずです。次に、現在社会で使用されている化学薬品に較べ、漢方薬は自然から生まれ、ナチュラル食品に相当します。動物達に服用させても肉、卵、ミルク等に有害物質を体内に残す恐れは限りなくゼロに近いといえます。最後に、漢方薬の配合は多種多様であるため、症状にあわせ処方することによって、最も効果的、総合的に治療することが可能です。 |
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| 生薬の採集、加工、貯蔵 |
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| 中国は土地が広く資源が豊富であり、漢方治療には非常に有利であります。しかし、生薬の採集、加工、貯蔵が合理的であるどうかによって、生薬の品質、効果が異なります。生薬に関して十分に理解しながら、正しく科学的な採集、加工、貯蔵が必要になります。 |
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| 一.
採集 |
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生薬の採集は植物、動物、鉱物の薬用とする部分によって、採集する時期が異なります。生薬を正しく採集する時期とは、薬効成分が最も多く含まれている時期ということです。一般的薬用部分には、根、根茎、葉、花、実、種子、樹皮などに分けられます。 |
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(一)薬物の採集季節を十分に理解する |
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中国では薬用植物の種類が非常に多く、地方によって、薬草の成長速度がすべて違います。また、薬用部分は根、根茎、葉、花、実、種など違いがあるので、採集の時期を間違うと、薬効に直接影響するだけではなく、採集の時期が過ぎると、なかなか見つからないこともあり、適切な時期に正しく採集することが最も重要なことです。 |
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| 1,全草・・・・・ |
ほとんど春、夏、秋の季節に採集する。植物が最も繁茂した時、また花の咲いているとき、あるいは実が完熟した時に有効成分がもっとも多く、全株を刈り取ると良い。茵陳(いんちん)は春の初めころ、幼苗の高さが6〜7センチくらいに、全草を掘り取ってから、根を取り除く。紫花地丁(しかじちょう)は夏の果実が完熟した時、全草を刈り取る。荊芥(けいかい)は秋に花の蕾がまだ緑色のころ、根から掘り取る。 |
| 2,根と根茎・・・ |
一般的に秋に葉が落ちてから、あるいは早春に芽を少し出した時期、根と根茎の有効成分が多く貯まった時に根を掘り取る。山薬(さんやく)、貝母(ばいも)、桔梗(ききょう)など。また半夏(はんげ)、延胡索(えんごさく)などのような植物は夏に掘り取る場合もある。 |
| 3,樹皮と根皮・・ |
春から夏にかけて、植物がまだ成長期で皮が剥ぎやすい時に剥き取る。秦皮(しんぴ)は春と秋に剥き取られる。合歓皮(ごうかんひ)の樹皮は4月以後に剥き取るが、根皮は春の初め、あるいは秋の後半に採集し、その時期は植物栄養成分が根の部分に一番貯まっている時期である。地骨皮(じこっぴ)は、その年11月から翌年4月までに剥き取るものは品質が大変良い。 |
| 4,葉・・・・・・ |
花の咲く時期、あるいは咲く直前、植物が最も繁茂した時期に採集する。番瀉葉(ばんしゃば)、紫蘇葉(しそよう)など。ただし、特別な薬草もあり、例えば、桑葉(そうよう)のような植物は、霜が降りた後に採るべきである。 |
| 5,花と花粉・・・ |
一般に花の蕾みが出初めて、咲きかけた時期に採取する。採るのが早すぎると、産量が少ないだけでなく、香りも少なくなる。採るのが遅すぎると、香りが少なくなるばかりでなく、花びらが落ちやすくなる。両方とも薬物の品質に悪影響を与える。金銀花(きんぎんか)、槐花(かいか)、辛夷(しんい)など。ただ紅花(べにばな)のような花は黄色から赤色に変わるときに採る。花粉を使う時は、まず雄花を採ってから、花粉を採るべきである。蒲黄(ほおう)は5〜6月の花が咲く頃に採る。 |
| 6,果実・・・・・ |
少数の植物は未完熟でも採るが、一般的に完熟期に採る。例えば、積実(せきみ)、青皮(せいひ)である。 |
| 7,種子・・・・・ |
一般に完熟期に採る。車前子(しゃぜんし)、牛蒡子(ごぼうの種)など。ただ、ある植物の種子は完熟期に落ちやすいので、ヌ」ナ」子(あさがおの種)などは果実が完熟期に裂ける前に採る。 |
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(二)薬物の成長環境を十分に理解する |
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薬物の成長と分布及び緯度、海抜高度、地勢、土、水分、天気など地理的環境が密接に関連しています。薬用植物の生態知識を十分に理解することが、採集するのに大切です。 |
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(三)薬物資源を保護すること |
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中国の医療衛生事業の発展における、漢方薬に対する需要は日々、増加しています。採集する時には必ず薬用植物の保護と開発、そして有効に利用することを注意しなければなりません。 |
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| 1,採集計画・・・・・・ |
毎回薬草を採る前に、まず目の前に必要な薬草を考えて、できるだけ使う薬草を使う分だけ採取します。なお、採る、使う、残すことを同時に結び付けて計画します。 |
| 2,根を残し種を保つ・・ |
何年間も生きる薬草は、採集するときできるだけ根を取らないようにします。根また根茎を使用する時は、大きい根と根茎を掘り取り、小さい根と根茎を残すようにすべきです。葉を採るときは、植物の成長に影響しないように一度にすべてを採らないことが重要です。果実を採るときは、完熟した果実を採るほか、種は元地に蒔きます。 |
| 3,最大限に利用する・・ |
一株の薬草、根だけを使う場合、枝、葉の利用価値も視野に入れなければなりません。例えば、黄連(こうれん)の場合、昔は根の部分だけが使用されていました。今では花も使用されるようになりましたが他の部分に関して利用価値があるかどうかの検討がなされています。また金銀花は花だけが使用されていましたが、現在は葉も使われています。その他、植物を手入れする時にも、根、皮、葉と言ったものを捨てずに適所適用にするよう心掛けます。 |
| 4,生薬源の確保・・・・ |
現地条件に合わせ、珍しい品種と稀に見ない生薬の人工栽培にも力を入れ、生薬源の確保と拡大を図らなければなりません。 |
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| 二.加工 |
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季節によって採取した薬草は、水洗いし、整理してから、生で使用するもの以外は速やかに乾燥して、保存する必要があります。 |
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| 1,日干し・・・ |
採取した薬草は、選別し水洗いしてから、皮類、根、根茎類及び種は日当たりの良い場所で干します。 |
| 2,蔭干し・・・ |
花、葉、および全株薬物は風通しのよい場所で自然な空気で干します。 |
| 3,乾燥・・・・ |
人工乾燥方法であり、天気の影響を受けず、必要な温度を自動調整できます。火干ししたり、乾燥機を使って乾燥させたりします。 |
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| 三.貯蔵 |
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乾燥が十分でないと、カビが生えやすく、虫が発生してしまいます。そこで日干し、蔭干し、火干し、石灰乾燥、あるいは特製な乾燥機を使ってよく乾燥させてから、瓶や紙袋に入れて、低温で十分乾燥した貯蔵室に保管します。また特別な性質を持つ生薬には、それぞれにあった保存法が必要です。例えば、有毒植物は専用の場所で保管します。人参、鹿茸(しかの角)、熊胆(くまの胆)など貴重な薬材は紙で包んで米つぼの中にしまっておきます。枸杞子(くこし)、当帰(とうき)などカビや虫が発生しやすい生薬には、アルコールをまいて保管します。色が変わりやすい丹皮(たんぴ)と白し(びゃくし)などの生薬は布袋に入れて密封容器に保管すると変色を予防できます。茯苓(ふくりょう)は直射日光を避け、暗い場所に保管します。骨碎補(こつさいほ)は湿気の多い場所を好むので、乾燥した場所に置くことは避けなければいけません。芒硝(ぼうしょう)などは風化しやすいので、セラミック容器に入れておきます。カボチャの種、はと麦などの種類は虫が発生し易いので、十分に注意しなければなりません。硫黄など可燃物は火に充分注意します。牛黄(ごおう)、軽粉(けいふん)など日光に弱い薬物は暗い場所に保管します。山鬮炭(さんざたん)、血余炭(けつよたん)、地楡炭(じゆだん)などの炭類薬物は湿気を与えると薬効が低下するので、密封した状態で保存しなければなりません。生姜(しょうが)、鮮蘆根(ろこん)などの新鮮な生薬は砂の多い土に保存します。陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、麻黄(まおう)などの薬物は長期保存するほど薬効が高くなります。 |
―――――次回は、漢方薬の加工法について勉強します。 |