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動物用漢方薬学
講義:第二回目
漢方薬の加工法(炮製)
 漢方薬の薬剤は自然の植物、動物、鉱物であるため、多様な薬剤を炮製してから使用します。炮製とは薬剤を使用、製剤する前に加工処理することです。
一.炮製の目的
 炮製の目的には以下のようなものがあります。
 ・ 薬物の毒性を除去または減少させる
 ・ 刺激性や副作用を軽減または消去する
 ・ 薬物の効能を増強し治療効果を高める
 ・ 製剤や貯蔵をしやすくする
 例えば草鳥(そうう)の毒性には甘草(かんぞう)、黒豆と一緒に煮る、蒸すなどの方法によって毒性が減少し、性能を変化させます。性質が硬い鉱物や貝類などの薬物は砕いて粉にしにくいので製剤・調剤にはとても不便です。自然銅、センザンコウなどの薬物は加工すると調剤しやすくなります。臭いのきつい薬物には酒制(酒につける)、酢制(酢につける)、水漂しなどの方法で加工すると飲みやすく、また長期の貯蔵にも便利になります。
二.炮製の方法
 薬材によって炮製の方法は違ってきます。良く用いられる炮製方法は生薬を焙ぶる、炒める、洗う、蒸す、煮る、浸す、発芽・発酵させるなどです。
(一) 修製
 薬剤の薬用部分だけを選び取り、非薬用部分と雑質部分を取り除いたあと(選薬といいます)、粉砕、切製などの方法を修製と言います。
  1. 選薬とは挑(選ぶ)・揀(選び取る)・簸(箕を用いて)・篩(ふるいにかける)、刮(こすり落とす)、刷(ブラシで磨く)などの方法で生薬の非薬用部分、ほこりや雑質を取り除いて綺麗で純粋な薬用部分を選ぶことです。例えば箕を使って生薬中の泥や砂や小石、その他の雑物を除去する方法(簸法)。肉桂(にっけい)は刮法であり皮を取り除きます。枇杷葉(びわよう)は表面の絨毛をブラシで落とします(刷法)。また、非薬用部分の根や核などを取り除くことも必要であり、麻黄のような根を取り除いたり、山茱ゆ(さんしゅゆ)は非薬用部分である核を取り除いたり、または薬物の大きさや太さによって分けたり、加工しやすくします。
  2. 粉砕とは製剤しやすく、あるいは薬効を十分に発揮させるために、搗く、碾く、削る、鑪をかけるなどの方法で、薬物を細かくすることです。例えば、竜骨(りゅうこつ)、牡蛎(ぼれい)は搗き砕きによって、有効成分を煎じ出しやすくなります。川貝母(せんばいも)は細かく搗き砕くことで飲みやすくなります。調剤しやすくするために、水牛角(すいぎゅうかく)はかんなで薄片に削ったり、やすりで粉末にまでこすったりします。草果(そうか)、アサガオ、郁李仁(いくりにん)などの果実は搗き砕くことで、生薬の有効成分を煎じやすくします。
  3. 切製とは生薬の有効成分を煎じ出しやすくしたり、乾燥・貯蔵・均等・加工・製剤などをしやすくするために、ミクロトームや特製の切片刀を用いて、生薬を一定規格の塊や片に切断することです。また“飲片”とも言います。薬物の性質と治療上の必要に応じて、切製には一定規格があり、長い根類と果実類では一般的に1〜2mmの薄片に切製します。その時、横に切るのが一般的です。防風(ぼうふう)、当帰(とうき)、擯榔(びんろう)など。でんぷん含量の多い生薬は材質が脆いので、2〜4センチ厚片に適します。また、一定の方向に切製する制限はありません。山薬(さんやく)、天花粉(てんかふん)など。容積が大きく、材質が緻密及び色のつやが鮮やかな生薬は、特徴を鑑別・加工し易くするため、一般的に2〜4センチの厚片に切ります。また、一部の生薬は10センチの長さに切るものもあります。附子(ぶし)、大黄(だいおう)、昇麻(しょうま)など。長い形及び繊維が比較的多く含まれる生薬は、この特徴が十分にいかすために、2〜4センチの厚片に斜切します。甘草(かんぞう)、桂枝(けいし)など。黄柏(おうぼく)、陳皮(ちんぴ)、枇杷葉(びわよう)などのような葉類と皮類の生薬はほとんど千切りにします。粘液質の多い生薬は切片に適さないので、段に切るのが普通です。天門冬(てんもんどう)、巴戟天(はげきてん)など。全草類の生薬は適当な長さに刻みます。車前草(しゃぜんそう)、益母草(やくもそう)など。
(二)水製
 生薬を水で加工する方法を水製法といいます。水製法の目的は、生薬を洗浄したり、軟化したり、生薬の毒性と嫌な匂いを除去することです。よく使う水製法は洗、漂、泡、潤及び水飛などがあります。
1,洗・・・ 生薬に付着している泥・砂・雑物などを水で洗い流すことで、生薬を綺麗にします。
2,漂・・・ 生薬の毒性を緩和し、雑物を除去するために、生薬を水の中につけて綺麗になるまでに水を繰り返し取り替えます。例えば、半夏(はんげ)、天南(てんなん)、草烏(そうう)などは水につけることによって、一部の毒性を除去できます。海藻は水につけると、余計な塩分を除去することができます。
3,泡・・・ 材質が硬い生薬は切製する前に、水に適当な時間浸し、軟らかくなるまで切製する。例えば、檳榔(びんろう)を切製する前には、水に一週間ぐらい浸す必要があります。
4,潤・・・ 水に浸す必要がない生薬は、適量な水を噴きかけてから容器に入れ、生薬の外部水分が内部まで浸透してやわらかくなるのを待ちます。
5,水飛・・ 水に溶けない薬物または細かくしにくい生薬は、水と一緒に搗き砕くことによって底にたまる沈殿物を取り出して使います。外科と眼科で使う鉱物薬はほとんど水飛法により、作られたのものです。
 
―――――次回は、火製、水火合製などの加工法について学びます。
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