| 講義:第三回目 |
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| 漢方薬の加工法(炮製) |
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(三)火製 |
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生薬を直接・間接に火で加熱処理する方法を火製法といいます。火製は生薬を適切に利用や保存するために生薬を乾燥させたり、ばりばりさせたり、焦茶色にさせるなどします。
よく使う火製法には「炒」、「炙」、「炮」、「ダン(火に段)」、「コウ(火に考)」、「ホン(火に共)及び焙」などがあります。 |
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| 1, |
「炒」とは生薬の性質の違いや治療の必要上、生薬を鍋で炒めることです。炒黄、炒焦、炒炭の三種類の方法があります。炒黄、炒焦は生薬から強い香りが出てくるため、時間をかけて生薬の表面色が黄色・焦げ茶色になるまで炒めます。麦芽(バクガ)、山査(サンザ)など。また、ある種の生薬は割れるまで炒めると、治療効果を高め、生薬の有効成分が煎じやすくなります。牛ボウ子(ゴボウシ)、蘇子(ソシ)など。また、ある生薬を炒めると、生薬の毒性を減少させ、薬性を緩和させます。杏仁(アンニン)、酸棗仁(サンソウニン)、莱服子(ライフクシ)など。炒炭は生薬の芯まで焦がすか、表面が炭になるまで煎ります。炒炭存性とも呼びます。炒炭法は収斂、止血作用を高めます。蒲黄(ほおう)炭、地楡(ちゆ)炭など。また小麦のふすま、米などを加えて一緒に炒めたりもします。小麦のふすまを加える目的は生薬の刺激性を減少させ、健胃効果を高めることです。白術(ビャクジュツ)など。米と一緒に炒めると、生薬の毒性を減少させます。斑ミョウ(ハンミョウ)などは、餅米・米とかき混ぜて炒めます。 |
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| 2, |
「炙」とは液体の補料材料を使い、生薬と一緒に炒めることによって、生薬の薬性を変え、治療効果を高め、副作用を減少することができます。以下はよく使う方法です。
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| (1)蜜炙・・・ |
鍋で蜂蜜を熱し(水を少々加えてもよい)、よくかき混ぜてから生薬を入れます。蜂蜜が完全に吸収されて手にべた付かなくなるまで炒めます。一般に蜂蜜を入れる量は生薬に対して20〜30%です。蜜炙は薬性を緩和し、肺を潤し、咳を止めるなどの作用があります。甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)、桑白皮(ソウハクヒ)など。 |
| (2)酢炙・・・ |
酢炙は作り方が二つあります。第一は米酢と生薬をよく混ぜ合わせてしばらく置いてから、鍋で乾くまで炒めます。第二は炒めながら米酢を加えて完全に吸収・乾くまでに炒めます。米酢の使用量は生薬に対して20%です。酢炙は痛みを抑え、滞りを除く作用などを高める効果があります。香附(コウブ)、延胡索(エンゴサク)など。また、ある生薬は酢炙法によって有効成分を抽出し易くなります。 |
| (3)酒炙・・・ |
作り方は酢炙と同じです。一般に黄酒を使います。使用量は生薬に対して20%です。酒炙は寒性の生薬を緩和し、血液の循環を良くする作用があります。黄連(オウレン)、大黄(ダイオウ)、当帰(トウキ)、川キュウ(センキュウ)などはよく酒炙法を用います。また、酒は良い溶剤であり、生薬の有効成分の溶出率を高めます。 |
| (4)塩炙・・・ |
生薬を3%の食塩水の中に入れてよく混ぜ回し、しばらく放置してから鍋で乾くまで炒めます。塩炙法には腎臓機能を高め、解熱、利尿作用などがあります。補骨脂(ホコツシ)、車前子(シャゼンシ)など。 |
| (5)姜炙・・・ |
生姜をみじん切りにして水と一緒に煮出します。出来た煮汁は生薬とよく混ぜてから、乾くまで炒めます。姜炙は健胃、嘔気を止める作用などがあります。半夏(ハンゲ)、竹茹(チクジョ)などは姜炙法を用います。 |
| (6)油炙・・・ |
生薬と油(胡麻油・羊脂)を生薬と一緒に加熱し、油を完全に吸収させて生薬の表面にツヤが出るまで炒めます。油の使用量は生薬量の20%です。生薬は油炙法によって、強壮、強精作用などが高められます。淫羊カク(インヨウカク)などは羊脂を使って炒めます。 |
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| 3, |
「炮」とは高温の鍋に生薬を入れて、表面に焦げ色がつくまで炒め、煙が出たら止める方法です。炮の目的は生薬の毒性・劇薬性を緩和することです。炮附子(ホウブシ)、炮姜(ホウキョウ)など。
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| 4, |
「ダン」とは生薬を直接または、適当な容器・鍋で焼くことです。ダンの目的は生薬をぼろぼろに砕け易くすることで煎じ易くします。焼き石決明(セッケツメイ)、焼き牡蛎(ボレイ)など。血余炭(ケツヨタン)などは、密封容器の中に入れて焼くと、止血作用を高め効果があります。 |
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| 5, |
「コウ」とは濡れた紙で生薬を包んで、熱い灰・砂の中に入れて焼くことです。紙の表面が焦げ付くまで焼くことで生薬の油が取れ、毒性・刺激性を緩和させることができます。甘遂(カンツイ)、木香(モッコウ)、肉豆冠(ニクズク)など。 |
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| 6, |
「ホンと焙」とは生薬を粉砕・切製しやすくするために、生薬を乾燥させることです。ホンは弱火で乾かします。ホン菊花(きくか)、ホン金銀花(きんぎんか)など。焙とホンは同じですが、火の強さがホンより焙の方が強いのです。焙ムカデなど。 |
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(四)水火合製 |
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水火合製とは水と火で生薬を加熱・加工する方法です。水火合製法によって、生薬の薬性を変え、薬効果を高め、毒性を緩和します。よく使う水火合製法は蒸す、煮る、淬、茹でるなどの方法があります。 |
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| 1,蒸・・・ |
蒸気で生薬を蒸すことです。あるいは補助材料を加えて一緒に蒸すことによって、薬性を変え、治療効果を高めます。例えば、地黄(ジオウ)の元の薬性は体内の熱を下げ、陰血を補い、血熱を冷まし、血行を良くする効能がありますが、生地黄(ショウジオウ)に黄酒を加え蒸した地黄は補血作用などを高めます。 |
| 2.煮・・・ |
水あるいは補助材料を加えて軟らかくなるまで煮ることによって、治療効果を高め、生薬の毒性を緩和します。例えば、三稜(サンリョウ)、コエンドロには酢を加えて煮ます。半夏(ハンゲ)には生姜或いは明礬(ミョウバン)を加えて煮ます。芒硝(ボウショウ)には大根の煎汁を加えて煮詰め、冷めてから乾燥すると元明粉になり、出来上がった純粋な元明粉は眼病などに用います。 |
| 3.淬・・・ |
生薬を焼いてから直に酢、あるいは他の液体補助材料の中に入れて置きます。これは生薬を砕けやすくし、薬性を緩和するためです。自然銅など。 |
| 4.茹・・・ |
生薬を熱湯でさっと茹で上げます。その後種子類生薬は殻を取り、汁が多い生薬は乾燥させ、加工する時に用います。例えば杏仁(アンニン)は水を加えて火にかけ、ゆで上がったら殻を取ります。馬歯見(バシケン)は茹でてから乾燥させ、貯蔵しやすくます。 |
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(五)その他の製法 |
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生薬に対して発芽、発酵、製霜、複製させることによって、生薬の性能を変えたり、治療効果を高めたり、生薬の毒性を緩和したり、粉砕・保存に便利となります。 |
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| 1,発芽・・・ |
決まった温度と湿度で完熟した果実・種子を発芽させると新しい効能が得られます。例えば、麦芽(バクガ)は大麦を約1日水に浸し、発芽させてから乾燥して作ったもので、生或いは炒めてから使用すると、消化・健胃作用などがあります。 |
| 2.発酵・・・ |
生薬を決まった温度と湿度で微生物を繁殖させ、表面を黄白色に発酵させる方法を発酵法と言います。生薬を発酵させると薬性が変わります。例えば、麦粉と苦杏仁(クキョウニン)、赤小豆(セキショウズ)、鮮青蒿(センセイコウ)などを混ぜて発酵させて作った神曲(シンキク)は消化、食後のもたれを回復する作用があります。 |
| 3.製霜・・・ |
生薬の毒性を緩和させ、薬効果を高めるために生薬の油を取ってから粉末まで細かくします。例えば、巴豆(ハズ)は鑢をかけ、油取り紙で包み、加熱して油を搾ります。篩にかけて出来上がった粉末は巴豆霜となります。 |
| 4.複製・・・ |
ある生薬に多種類の補助材料を加え、決めた順序で繰り返し加工する方法を複製法と言います。このように加工する生薬は毒性を緩和し、治療の効果を高めることができます。例えば、清半夏(セイハンゲ)は半夏(ハンゲ)を水に7〜10日ぐらい浸し、1日1〜2回水を換え、薬量の20%の明礬(ミョウバン)を加えて水と一緒に煮、乾かしたものです。この方法で作った清半夏(セイハンゲ)は半夏(ハンゲ)より毒性が低いだけでなく去痰にも適しています。 |
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―――――次回は、中薬の性質について学びます。 |