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講義:第二回目
針技術の基本(1)
 中獣医学の針療法には白針、火針、血針、気針の四種類があります。その中の、白針療法は最も基本となるものです。よって白針の技術は初めて中獣医学を勉強する方々にとって、最初に学ばなければならないものです。他の針技術は白針を基に変化してきたものだからです。この白針の技術は今回と次回の2回に分けて説明していきます。
(一) 白針
白針には円利針、毫針、小寛針があります。
1.針の刺し方の基本
(1) 針の角度
針の角度とは、針体と皮膚のツボの角度です。刺針の方向によって、三種類にわけることができます。
 
1,直刺: 針を垂直に刺入します。筋肉および組織の厚い所に常用されています。
2,斜刺: 針を45度の角度に刺入します。骨格の辺縁にあるツボあるいは深刺しできない部位にあるツボに常用されています。
3,平刺: 平針はまたは横針と称して、針を15〜25度の角度で皮下に刺入します。筋肉の薄いところと骨格の辺縁にあるツボに常用されています。
(2) 針刺の深度
「針刺の深度」とは針をツボに入れる深さのことを言います。深ければ動物体を損傷させてしまい、浅ければ治療効果が期待できなくなります。深くもなく、浅くもなく、適当な深さまで入れられることが望ましいことです。ツボ毎に入れる深さが違ってくるので注意しなければなりません。しかし、動物体の年齢、体格、体質、体脂肪、病の虚、実、急、慢の条件によって針刺深度は臨機応変、適所適用で対応しなければなりません。要するに、熟齢動物で、体格が大きく、体質が丈夫で、体脂肪がついていて、実証、急症のものは適当に深く、その逆は浅く入れる必要があります。
(3) 針刺の強度
「針刺の強度」とは、ツボに針をいれ、「回す」、「沈める」、「浮かす」、など一連の動作の力加減のことをいいます。動物体の刺激に対する反応から加減を調整することができます。上述に対する刺激への反応は「針感」といいます。針刺による刺激で、動物が皮膚を震わせたり、筋肉が収縮したり、頭と耳を左右に揺らしたり、口鼻を鳴らしたり、足と爪先を地面に踏み付けたり、失禁したりなど様々な反応が出ることが予測されます。これらの反応に従って、針が吸い込まれるような、浮き上がるような感覚が針を刺している人に伝わってくることがあります。釣りのとき、魚が餌に食い付き、竿を通して手首に伝わってくるような感覚に似ています。もし、針に何も感じ取れず、動物体が一切反応を示さなかったら、「針感無」といいます。針感の有無はツボを正確に捉えられ、方向の正確さ、角度、深さ、強さなどの条件と密接な関係があります。針感の速さは動物体の体質及び外の気候条件とも関わってきます。針感の有無が針刺の効き目に反映されます。もし、針感無と判断されれば、ツボの位置、針刺の方向、角度、深さ及び針刺強度などの手法を加え、治療過程の中で調節していくことが肝心です。通常、針刺の強度は次の三つの段階に分ることができます。
1,強刺激: 刺しの深度が深く、提挿捻転の幅が広く、速度は早く、強い反応になります。一般的に実証或いは針麻酔に使われます。
2,弱刺激: 刺しの深度が浅く、提挿捻転の幅が狭く、速度は遅く、弱い反応になります。一般的に虚証あるいは老齢、弱い動物に使われます。
3,中刺激: 刺激の力は強、弱の間、刺しの深度は普通です。提挿捻転の幅、速度は上記2つの中くらいで、一般の多くの病気に使われます。
刺針の強度は上述の刺激以外に、動物の神経にも関係があります。敏感な動物は反応が大きく、頭が鈍い動物は反応も小さいのです。
2.刺針の基本手法
(1) 押手法
針を刺す時、左手でツボを押します。これを押手といいます。その作用はツボのある部分の皮膚を固定させ、針を刺入するのを補助すると共に、正確に針をツボに刺すことにあります。さらに刺針による疼痛を軽減させる効果もあります。
 
1,指切按ツボ法: 左手親指先でツボ又はツボ近くの皮膚を強く押さえ、右手で針を持ち、針先を押さえて親指にそってツボに刺入します。
2,夾持按ツボ法: 左手の親指と人差し指を使い、綿球で針を包み、右手で針柄を持って、左手で包んだ針を下に押しながら針先を刺入していく。多くは長毫針で刺す時に利用されます。
3,舒張按ツボ法: 針を刺入しやすくするために、左手の親指と人差し指でツボ周りの皮膚を両側にひろげます。皮膚のゆるんだ部分に多く用います。
4,提捏按ツボ法: 左手の親指と人差し指を持って皮膚をつまみ、右手で針をもち,側面よりツボに針を刺入する方法で、頭部あるいは筋肉の薄い部位に刺針する時に多く使われます。また、穿黄針を使用する時にも用います
(2) 持針
一般に右手で針柄を持ち,具体的な針方法は針具、針法、刺針法により選択します。
 
1,執筆式持針法: 円利針と短毫針を使用する時は、一般的に執筆式持針法を用いる。右手の親指と人差し指で針柄を固定して、中指で針先を支えながら刺入します。
2,夾持式持針法: 長毫針を使用する時に用いられ、右手の親指と人差し指で針の上端を挟みながら刺入します。
3,拳握式持針法: 小寛針を使用する時に用いられ、親指で針の先の後部を押さえて、針の挿入深度により針先の後部を一定の長さが出るようにします。そのほかの指で針柄を持ち刺針します。小寛針で背腰部のツボに刺す時は、執筆式持針法も用います。
(3) 進針
左手でツボを押さえて、右手で針を持ち、針先はツボに刺入します。ツボと針具によって、以下の三つがあります。
 
1,急刺進針法: 左手でツボを押さえ、右手は執筆式で針を持ち、針先を正確且つ迅速にツボに刺入します。同時に針柄を捻リながら、一気に針体を刺入します。
2,捻転進針法: 左手でツボを押さえ、右手で針を持ち、針先を迅速にツボに刺入します。その後、針柄を捻りながら、針体を刺入します。
3,速刺進針法: 速刺進針法は小寛針急刺法ともいいます。右手は拳握式で針を持ち、親指で針先の後部を押さえて、必要とする深度を固定し、針先を正確且つ迅速に刺入します。その後すぐに針を抜きます。小寛針でツボに刺す時に常用されています。
 
―――――次回は、「針刺の基本手法」の残りの留針、行針、退針について、勉強します。
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